HAL_9000

メンヘラクソニートのおはなし

家出

今日は2時間ぐらいおかんと夜道を歩いていた。冷たい空気を吸い込みながら。他愛のない話をして。

ふと、おかんは「1人で行かんといてな」と言っていた。家出を見抜かれていた。

「1人で行かんといてな」昔、自殺に失敗した時におかんが僕に言った言葉と同じ。

 

昨日の夜震えが止まらなかった

昨日の夜涙が止まらなかった

昨日の夜「もうこの家には居られない」と思った

おかんを連れて家を出たい

ただただ怖い

それしか思わなかった

それでも何もできないクソな僕はワイパ舌下して部屋で三角座りをするだけだった。

無力。

そんな僕を見つけたおかんは「大丈夫やから、あんたは心配症やからな」と言っていた。

 

今日また涙が止まらなくなった。

おかんは「ごめんな。あの時あんたを助けられんかったら私らがあかんのよ」と言う。

おかんは悪くない。おかんは僕を最後まで守ろうとしてくれた。

おとんや。おとんが僕を見殺しにした。おとんの体裁の為に僕は見殺しになった。

 

僕はアスペで双極性障害摂食障害不眠症、ディスカリキュア。

お医者さんは言う。

「君の場合アスペルガーは先天性のものだけど双極性障害についてはどこかでトリガーがあったと思う」

あの時しかないと思った。

見殺しにされたあの時。

だから僕はおとんを一生許さないし、見殺しにされた時から「おとん」と思っていない。

「おとん」の役割を放棄したから。

あの人、それだけ。

 

だからいつか、僕はおかんを連れて家を出る。

今日も泣きながらおかんにそれを伝えた。

いつかおかんを連れてあの人のところから出ようって。

おかんは「宝くじ当たらへんかな。当たったらすぐに出ていくのにな」と笑っていた。

 

おかんは強い。

でもいつか僕はおかんを守りたい。